タレントやモデルになりたい――。そんな憧れにつけ込み、「オーディション」に合格させた後、高額なレッスン料を請求するトラブルが後を絶ちません。経験した女性が語るその手法とは。
「2千人から選ばれました」
「デビューの夢かなう 新人発掘ミュージックオーディション」。医療関係の仕事をしている東京都内の女性(27)は昨年12月、こんな広告をSNSで見た。子どものころに市民劇団でミュージカルの経験があり、俳優として舞台に立つことは、ずっと捨てきれずにいた夢だった。
迷いもあったが、「ここで一歩踏み出そう」と決心して応募。すると、翌日にその事務所から「才能のありそうな方にお電話しています。いつならオーディションに来れますか」と電話があり、翌月、受けに行くことになった。
オーディションは15分程度だった。3人の男性の前で、歌ったり、歩いたり、セリフのようなものを言わされたり。終わると「ウォーキングは正直汚い。特訓が必要です。セリフは気持ちが見えましたが、ちょっと癖がある」などと講評を受けた。「他に参加者は見当たらなかったけど、こんなものなのかなと思ってしまった」という。
結果が出るまでの数十分間、別室で収入額や口座番号、貯金額などを聞かれた。担当者は「合格したらあなたのプロデューサーになります。絶対に必要な情報です」と説明。女性は、合否に影響するかもしれないと考え、答えてしまったという。
結果は「合格」だった。「今回…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル